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不可解なぼくのすべてを

 皆さんは男の娘が好きですか?

 男の子だけど女の子みたいに可愛い、けれど生えている。そんな男の娘が大好きですね?

 

 \大好きー!/

 

 そうです。男の娘が嫌いなオタクは存在しません。

 でも、男の娘と簡単に括るけれど“男の娘”って1種類しか存在しないのでしょうか?

 「男だけど女の子の服が好き」「女になりたい男の子」「男が好きだから女の格好をしている」……男の娘にも様々な理由があって“男の娘”をしているのではないでしょうか。

 

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 ということで今回ご紹介するのは粉山カタ先生の『不可解なぼくのすべてを』。既刊1巻。

 

~あらすじ~

 「ぼくのことをわかってくれる友達を下さい。」

 そんな願いを短冊に込めるもぐも。その姿を見たは自分を《声をかけるべき人間》と考え、自身の兄が経営するメイドカフェのバイトに誘う。可愛い服が着れるならと了承したが、そこは“男の娘”を売りにした男の娘喫茶だった。自分を男でも女でもないとするもぐもは“男”を名乗ることを拒み反発する。

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~魅力~

 “男の娘”を単なる萌え要素としてだけでなく物語の本筋に置いている点に、考えさせられました。ヒロインが男の娘な漫画といえば私は『プラナス・ガール』が思い浮かぶのですが、プラナスガールのヒロイン絆ちゃんは自身の可愛さ、“男の娘”という要素を最大限利用して主人公の槙くんを揺さぶっていました。

 もぐも君はそもそもそういう性格じゃないというのは別にして、“可愛い男の子”という武器を持っていません。客観的に見れば持っているのですがもぐも君自身がそれを手放している感じですね。男じゃないんですから。

 

「なんでそうやって……男じゃなかったら女って決めつけるんですか」

 タイでは性別が18個ある、なんて話が少し前に話題になりました。性別をたった2つに分類するのは不可能な時代です。もぐも君もそんな性別という区切りに苦しんでいます。

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 結局のところこれに尽きる。ジェンダーがどうとか「差別をなくそう!」とか騒ぐのがそもそもの差別なんだって話ですよ。自分にとって理解できないものだから「差別をなくそう!」なんて言えるんですよ。

 自分にとって普通のこと、例えば“きのこよりたけのこが美味しい”ってことに対して疑問を持ちますか? 差別をなくそうって気持ちになりますか? なりませんよね。たけのこは美味しいんですから。

 私たちは常識に対しては関心なんて持ちません。ちゃんと列に並んでる人のことよりも横入りしてくる劣等種の方が気になる、そういうものです。関心を持つこと自体が悪いとは思いませんが、もしあなたが「背が低いなんて珍しいことじゃないよ!」「太っていることなんて今時珍しくないよ!」「髪の毛が薄くても人権はあるよ!」なんてフォローされて嬉しいですか?

 そう思ってるならわざわざ触れるなって思いますよね。私は思います。わざわざ言ってくる奴は自分に言い聞かせてたり、周囲に自分はそういう差別をしないってアピールをしてるだけです。勿論善意100%の人もいます。でも過保護ってのは信頼してないことの裏返しです。

 

 あとはもぐも君の可愛さですね。小動物みたい。可愛い。

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 主人公の哲くんも好感が持てます。もぐも君を理解しようと思いながらも女の子のように感じたり、まだもぐも君の性別については色々と思うところがありそう。それでももぐも君の一番の味方であることに変わりはないし常にもぐも君のことを考えているいい子。

 

 そして、もぐも君の親友琴ちゃんの存在です。琴ちゃんは誰よりももぐも君のことを守って、世話をして……そんな女の子です。でももぐも君をあくまでも“男”としてとらえていたり、実は一番もぐも君を理解していない立場なのかなと1巻を読む限り感じました。こういう女の子大好きです。相手には「私だけが理解者」みたいに接して依存させておいて、実は自分が依存してるタイプの女の子だと思います。これは妄想ですけどたぶん、そう。

 

~総評~

 男でも女でも、どっちでもなくてもいいじゃない。性別とか関係なく可愛いものは可愛い、オタクにはその精神が宿っています。その精神を3次元に向けられるかというのはオタクの課題ですが、3次元で苦しんでる人を救えない分は2次元で苦しんでいる人を救ってあげましょう。

 もぐも君は男でも女でもないながらも、主人公の哲くんを好きになって少しでも“女の子”になろうと歩みを進めます。もぐも君には周囲から何と言われても自分は男でも女でもないと言い切る強さを持っているので、きっとどんな道を選択してももぐも君なりの答えにたどり着けるのではないでしょうか。

 「人がルールを守るべきなのではない。ルールが人を守るべきなのだ」と『めだかボックス』のめだかちゃんも言っています。男と女しか結婚出来ないルールによって守られていない人も居るんだということを少しずつ理解していきたいですね。

 

 そんな感じで、『不可解なぼくのすべてを』は私のような頭の悪いオタクにも性別という問題を考えるきっかけを与えてくれる漫画です。“男の娘”が好きな人は是非1度読んでほしいと感じました。