きょーだん!
今回紹介するのは現在別冊少年マガジンで『丹沢すだちが此処にイル!』を連載している額縁あいこ先生が、かつて同人誌として頒布、その後アルファポリスで連載していた漫画『きょーだん!』です。
4コマ形式のギャグ漫画で、全2巻として刊行されています。
~あらすじ~
12月25日生まれをこじらせ自分を神か何かと思い込み教祖を目指して布教を続ける主人公マリーと、その幼馴染兼保護者(?)優、劣等感の塊系ガールルカ、科学信者ぼっちロッキー、ロックを嗜むお嬢様トミ子、マリーを救世主と崇める後輩あかりが繰り広げるこじらせ系友情ギャグ漫画。
~魅力~
この作品の魅力はなんと言っても個性の強すぎる登場人物たちでしょう。
主人公のマリーは過激な宗教家。ことあるごとに自分の宗教を布教し信者を増やそうとします。しかしマリーは一方的に押し付けるだけではなく、友達の少ないルカやロッキーにも分け隔てなく接する聖母の如き慈愛を持っています。バブみ。そのためいつも友達(信者?)に囲まれています。
幼馴染兼保護者(?)の優は一番の常識人でありながら、誰よりもマリーの事が好きでマリーと趣味のあう後輩が登場した際には物陰からやべー表情で様子を伺っています。マリーのコスプレをして鏡に映った自分と対話したり、過去に貰ったマリーの髪の毛に口づけをしていたり、もしかするとこの漫画で一番やべーやつかもしれません。
ルカは黒歴史が沢山あってことあるごとに嘔吐する卑屈系女子です。百合が大好物で、優のマリーへの想いを応援しています。優とマリーをモデルにした百合同人誌を出していたり中々思い切ったことをする子です。その同人誌がきっかけで優の相談相手になったりと結構な重要ポジションに立っている子でもあります。
ロッキーは1話のこのセリフだけで全てが説明できます。
こういう子です。
トミ子はロックを愛するお嬢様で、上品なのか下品なのかわからない言動をします。はじめはロッキーと馬が合わない様子でしたが、決闘を経てトミ子はロッキーを自分のバンド(メンバーはまだ自分だけ)のボーカルに誘うようになります。2巻ではロッキーに友達が増えてヤキモチを焼いたり素直になれない部分も。
あかりはマリーを救世主と崇め、マリーの宗教活動に唯一真剣に付き合う後輩です。その存在は優に「マリーの隣に居るのは自分ではなくなるのではないか」と危機感を与えました。マリーと優、そしてあかりの三角関係は修学旅行にて思わぬ形で決着がつくこととなります。
そんな個性豊かな登場人物が少しずつ距離を縮めていき、絆を深めていくさまには尊さを感じずにはいられないでしょう。また読む人によって様々なカップリングが発生する漫画でもあります。妄想の自由度が高い。
~総評~
日常系4コマギャグ漫画ですので、読めない程苦手という方は少ないのではないかと思います。しかし作者の額縁あいこ先生のこだわりというか、マニアックな性癖が前面に押し出されている漫画ですのでその独特な雰囲気に馴染めない方も多いと思います。反対にこの空気を一度好きになってしまうともう抜け出すことは出来ません。
『きょーだん!』は既に完結していますが、同作者の『丹沢すだちが此処にイル!』は現在も連載中ですのでどちらかを読んでみて好きだと思ったらもう片方にも手を出してみてはいかがでしょうか。